英語力を根本から鍛える──音読トレーニングのススメ

英語の学習において、「音読」は昔から定番の学習法として知られていますが、その効果を最大限に引き出すためには“正しい手順”と“継続の工夫”が必要です。
本記事では、大学受験にも通用する英語力を身につけるための音読トレーニング法を、
学習塾の現場で実践されているルールシートとして紹介します。
教材は『速読英単語（必修編）』を使用し、
1日1ユニット・20〜30分の実践で「読む・聞く・話す」の力をバランスよく伸ばしていく方法です。

■ 音読の目的

英語音読のトレーニングは、単なる「発声練習」ではありません。次のような複合的な目的があります：

• 速読力・構文把握力の向上：英文を「語順のまま」理解できる力がつき、長文読解がスムーズになります。
• 語彙の定着と長期記憶化：視覚（読む）、聴覚（聞く）、発話（声に出す）を総動員して覚えることで、記憶の定着率が高まります。
• リスニング力の強化：英語のリズムや音の変化に慣れることで、リスニング問題にも対応できる“英語の耳”を育てます。
• 実用的な英語力の習得：入試で必要な「読む・聞く・話す」をバランスよく鍛えることで、使える英語力が育ちます。

■ 使用教材

• 使用教材は『速読英単語（必修編）』。
• 毎朝 1ユニット（見開き1ページ） を学習対象とし、1テーマあたり20〜30分を目安に実践します。
• 赤字の語彙と長文を活用することで、語彙・構文・読解・音声・発話の5要素を一括トレーニングできるのが特徴です。

■ 音読の手順（1ユニットあたり約20〜30分）

🔍 単語確認

まずは赤字単語を英語→日本語の順で即答できるように確認します。

1. 英語を見て、日本語訳が即座に言えるかどうかチェック。
2. 言えなかった単語にはチェックマークを付けておき、後ほど復習。
3. 複数の意味がある語や、あいまいな理解の語もこの段階で明確に整理しておきます。

👉 ポイント：覚える順序は「英語→日本語」。日本語→英語は不要です。

📖 英文内容理解

1. 長文を静かに読み、文章全体の意味を把握します。
2. 分からない構文や文法項目（SVOC、関係詞、仮定法など）は参考書の別冊や訳を参照して理解を深めましょう。
3. 文構造を頭の中でつかみ、内容を「イメージ」できるまで丁寧に読み込みます。

👉 ポイント：意味を理解せずに音読を繰り返しても効果は半減。黙読は音読前の“準備運動”です。

🔁 3ステップ音読トレーニング

以下の3ステップで、1つの英文を繰り返し練習します：

• 3回黙読：音声を聴きながら、スクリプトを見ながら、黙読。英文の意味を追いながら、前読み意識。
• 3回音読：音声を聴きながら、スクリプトを見ながら、音読。英文の中の発音・意味をリンクさせる。
• 3回シャドーイング：音声を聴きながら、スクリプトを見ないで、音読。音声だけを頼りに復唱

ポイント：「9回音声に触れる」ことで、英語が感覚的に染み込んできます。

 総復習

• 週末や時間に余裕のある日に、この1週間やった範囲の単語を総復習
• チェックマークのある語を優先的に、即答できるまで繰り返しましょう。
• 語彙力は受験英語の“土台”。知識の穴を確実に埋めていく作業が大切です。

■ 注意点

• リズム感を意識することで、読むスピードが自然に上がります。
• 訳す方向は「英語→日本語」のみでOK。実際の入試では“速訳力”が問われます。
• 黙読（内容理解）を飛ばさない！ 文の意味が頭に入った上での音読が効果を発揮します。

■ 継続こそ最大の成果を生む

英語は「毎日触れる」ことが何よりも重要です。

• 毎朝のルーティンに音読を組み込むことで、学習の“起動スイッチ”になります。
• 音読 → 内容理解 → 音の再現 というサイクルを習慣化することで、
  • 英文が読める（前読みができるようになる）
  • 聞いて分かる
  • 声に出せる という“実用英語力”が着実に育っていきます。

毎日たった20〜30分の音読トレーニングが、英語の得点力を支える“静かな革命”になります。

受験英語の本質は、「思考と言語の往復運動」。その入り口として、音読は最もシンプルで効果的なトレーニングです。

ぜひこのルールを日々の学習に取り入れ、ブレない英語力を手に入れてください。